情炎の焔~危険な戦国軍師~
第23戦 左近、失踪
「何やってんだろうな、三成様」
翌日、朝餉(あさげ)を終えた私は櫓の上で呟いた。
私みたいに賊に襲われているんじゃないかと心配になる。
おまけに空は重くどんよりしていて、今にも一雨来そうな感じだ。
「ん?」
ふと、何者かの気配がした。
しかし、振り向いても城壁があるだけである。
三成様を心配しすぎて神経質になっているのかもしれない。
なんてことを考え、私は城に入った。
とりあえず左近様に櫓から見た東軍の動きを報告しなきゃ。
まあ、今日も同じ場所に停滞しているのだけれど。
「失礼します」
左近様の部屋の前でそう声をかけた。
しかし、返事がない。
「左近様?」
やはり返事はない。
「失礼しますよ」
そう言って襖を開けると、中には誰もいなかった。
ただ、ぽつんと文机があるだけである。
厠(かわや)にでも行ったのだろうか。
そう思い、勝手ながら待たせてもらうことにした。
しかし、いくら待っても帰って来ない。
暇を持て余した私は仕方なく畳の目の数を数え始める。
「1、2、3、4…」
空っぽの部屋の中、私の声がやたらに響く。
「26、27、28、29…」
畳の目数えは続く。
「289、290、291、292…」
まだまだ続く。
「ぜえぜえ…3615、3617、3618…」
その辺りまで数えた頃、さすがに変だと思った。
いくらなんでも一刻をとうに過ぎているのに、戻って来ないのはおかしい。
「なんか変だ」
違和感を覚えた私は左近様をさがしに出かけた。
翌日、朝餉(あさげ)を終えた私は櫓の上で呟いた。
私みたいに賊に襲われているんじゃないかと心配になる。
おまけに空は重くどんよりしていて、今にも一雨来そうな感じだ。
「ん?」
ふと、何者かの気配がした。
しかし、振り向いても城壁があるだけである。
三成様を心配しすぎて神経質になっているのかもしれない。
なんてことを考え、私は城に入った。
とりあえず左近様に櫓から見た東軍の動きを報告しなきゃ。
まあ、今日も同じ場所に停滞しているのだけれど。
「失礼します」
左近様の部屋の前でそう声をかけた。
しかし、返事がない。
「左近様?」
やはり返事はない。
「失礼しますよ」
そう言って襖を開けると、中には誰もいなかった。
ただ、ぽつんと文机があるだけである。
厠(かわや)にでも行ったのだろうか。
そう思い、勝手ながら待たせてもらうことにした。
しかし、いくら待っても帰って来ない。
暇を持て余した私は仕方なく畳の目の数を数え始める。
「1、2、3、4…」
空っぽの部屋の中、私の声がやたらに響く。
「26、27、28、29…」
畳の目数えは続く。
「289、290、291、292…」
まだまだ続く。
「ぜえぜえ…3615、3617、3618…」
その辺りまで数えた頃、さすがに変だと思った。
いくらなんでも一刻をとうに過ぎているのに、戻って来ないのはおかしい。
「なんか変だ」
違和感を覚えた私は左近様をさがしに出かけた。