情炎の焔~危険な戦国軍師~
あちこちさがし回った私は、へとへとになりながら屋根裏部屋にまで来た。


「はあ、忍者みたい」


独り言を言いながら、暗い中を進む。


こうやって床板の隙間から覗くと悪代官が談合していたり、賄賂を受け取っていたりするシーンがよく時代劇にあるな、なんて思いながら目を凝らす。


「こんなところにいるわけないか」


屋根裏部屋を出、書庫を覗くがそこにも左近様はいない。


隠れんぼが上手い人なのかしら。


そんなバカなことを考えてしまうほど、左近様は影も形もなくなっている。


「左近様…」


切ない気持ちでそう呟いた時、また背後から気配を感じた。


「誰!?」


振り向いても誰もいない。


こんな暗い屋根裏部屋に近付く人なんていないか。


「はあ。本能的に左近様を求めすぎて、いないのに人の気配を感じちゃっているのかな」


ため息まじりにそう呟いた時だった。


(え…)


急に頭がクラッとしたと思うと視界が真っ白になり、意識がなくなってしまった。
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