情炎の焔~危険な戦国軍師~
第24戦 2人の絆
半蔵さんが左近様をはめたって?


混乱する私を、眼前の忍は楽しそうに見ている。


「ちょっと罠をしかけておいたのだ」


「罠?」


穏やかじゃない言葉に、胸がざわつく。


「ああ。あの者は頭が切れるから軍師として、さらに勇猛果敢で武士としては優秀だ。しかし、決定的な欠陥がある」


「?」


「それが貴様だ」


「私が、欠陥?」


胸騒ぎがさらにひどくなる。


「あの者は貴様のことになると、とたんにまわりが見えなくなる。あの者が貴様をさがしていた時に別人に化けてこの場所にいた、と言ったら疑いもせずに走っていった。罠があるとも知らずにな」


「そんな…」


左近様は私のために?


私がいたから左近様は?


「愚かな者よ」


その言葉を聞き、一瞬にして私の全身の血が逆流した。


「よくも左近様を!」


バカにしたように笑う顔に腹が立ち、私は渾身のパンチを半蔵さんの顔面めがけて繰り出した。
< 162 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop