情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド三成-
「殿、よろしいのですか?」
友衣が去った後、部屋に控えていた左近が話しかけてきた。
「何がだ?」
「華嬢のことです」
「なんだ。お前も友衣と同じ意見か。どこまでも仲が良いことだな」
「殿」
咳払いをする左近を見て、ハッとする。
「いや、すまない」
「それより華嬢を追い返して良かったのですか?」
「構わぬ。それより家康はまだ来ないのか」
気持ちが逸(はや)る。
「まあまあ、そう神経質になってはいけません」
「神経質になどなっておらぬ」
少しむきになってオレが言うと、左近は深いため息をついた。
「殿はお疲れなのでしょう。たまには女に癒されるのもいいんじゃないですか」
「ならぬ。もし敵が攻めてきて、その時に女と褥にいたなどということになったらどうする。情けないではないか」
「ですから、神経質になってはいけません」
「だいたいお前には友衣がいるからそんなことが言えるのだ。あいつはもともと城内にいるから、女を招き入れたなどと騒がれなくていい。だが華は」
そこまで言って我にかえったオレは口をつぐむ。
「すまぬ。言い過ぎた」
「…いえ」
さすがの左近も驚いたらしく、返答までにやや間があった。
(家康を倒すまで女に気を取られていてはならぬのだ)
そんな考えが頭を巡るのに、心のどこかでは得体の知れない焦燥が渦巻いていた。
「殿、よろしいのですか?」
友衣が去った後、部屋に控えていた左近が話しかけてきた。
「何がだ?」
「華嬢のことです」
「なんだ。お前も友衣と同じ意見か。どこまでも仲が良いことだな」
「殿」
咳払いをする左近を見て、ハッとする。
「いや、すまない」
「それより華嬢を追い返して良かったのですか?」
「構わぬ。それより家康はまだ来ないのか」
気持ちが逸(はや)る。
「まあまあ、そう神経質になってはいけません」
「神経質になどなっておらぬ」
少しむきになってオレが言うと、左近は深いため息をついた。
「殿はお疲れなのでしょう。たまには女に癒されるのもいいんじゃないですか」
「ならぬ。もし敵が攻めてきて、その時に女と褥にいたなどということになったらどうする。情けないではないか」
「ですから、神経質になってはいけません」
「だいたいお前には友衣がいるからそんなことが言えるのだ。あいつはもともと城内にいるから、女を招き入れたなどと騒がれなくていい。だが華は」
そこまで言って我にかえったオレは口をつぐむ。
「すまぬ。言い過ぎた」
「…いえ」
さすがの左近も驚いたらしく、返答までにやや間があった。
(家康を倒すまで女に気を取られていてはならぬのだ)
そんな考えが頭を巡るのに、心のどこかでは得体の知れない焦燥が渦巻いていた。