情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド友衣-


その夜、三成様の部屋に呼ばれた私はお酌をしていた。


三成様と部屋で2人きりという状況はそうそうないので緊張する。


それにしても、お酒にはあまり強くない彼が酌をしろだなんて珍しい。


やはり華さんのことを悔いているのだろうか。


「友衣」


ほんのり頬を染めた三成様が私の名前を呼ぶ。


「はい」


反射的に顔を上げると、バチッと視線がぶつかった。


いつになく熱のこもった目で見られ、戸惑う。


「三成様、ちょっと飲み過ぎていませんか?」


「…」


返事もせず、ただこちらを見ている。


「お水、お持ちしますね」


視線から逃れるように立ち上がると、袂(たもと)がくいっと引っ張られた。


「行くな」
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