情炎の焔~危険な戦国軍師~
「み、三成さ…」


パニックになった私は慌てふためくことしか出来ない。


「ダメです。私には左近様が」


そこまで言った時、彼の寝息に気付いた。


なんか左近様の時もこんなことあったな。


佐和山城での思い出が頭を過ぎる中、私はとりあえず三成様をその場に寝かせ、布団を敷いて、また寝かせた。


彼はいつも冷たい目をしているのに、寝顔はまるであどけない子供のようだ。


「無理しちゃって」


私に抱きついてきたことからして華さんをよほど求めていたのだろう。


「素直じゃないんだから」


私が会ってあげたら、と提案した時に「お前の意見など求めていない」と突っぱねた毅然とした態度を思い出す。


「おやすみなさい」


行灯の火を消し、私はそっと部屋を出た。
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