情炎の焔~危険な戦国軍師~
「三成様」


「ああ。どうした?」


三成様は文を読んでいるようだ。


「これは?」


「幸村からの文だ」


「幸村様の、ですか」


「忍城攻めの時に幸村の父上、昌幸殿と知り合ってな。それで幸村とも」


「そうでしたか」


確かあの親子は西軍に協力してくれたはずだ。


それを裏付けるように三成様が言う。


「彼らは上田城で徳川秀忠隊を足止めしてくれているようだ」


「やった!」


思わず喜びをあらわにする。


「そういえば三成様、真田家って家族で袂を分かつことになったんでしたよね?」


「そうだ」


真田昌幸様、幸村様は西軍へ。


幸村様の兄上、信之様は東軍についたはずだ。


信之様の奥方、小松(幼名は稲姫)殿は徳川家の側近、本多忠勝殿のご息女。


確かそうであったと記憶している。


余談だが三成様に過ぎたるものが佐和山城と左近様なら、家康殿に過ぎたるものは唐の頭(ヤクの毛をあしらった兜)と忠勝殿だったという。


「こうして戦ってくれている同志や友のためにもこの戦、負けられぬ」


三成様が力強く言ったその時。


ピシャーン!
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