情炎の焔~危険な戦国軍師~
「わあっ!」


落雷の音に驚いた私は大声を出してしまった。


「なんだ。お前、雷が怖いのか?」


「わ、悪いですか」


またバカにされると思い、あえて開き直る。


「いや。案外、女子らしいと思ってな」


「案外はいりませんよ、案外は」


「なぜ同じことを繰り返し言う?」


「大事なことなので2度言いました」


「ふっ」


こらえきれなかったらしく、三成様が口元をほころばせる。


「あ、三成様が笑ったから三成様の負けですよ」


勝負する気などさらさらなかったが、ふざけて言ってみた。


「何が負けだ。にらめっこではあるまいし」


「では、にらめっこで決着をつけた方が良かったんですか?」


「そういう問題ではない。お前はオレの邪魔をしに来たのか?」


「すみません。そういうわけでは」


「お前が相手だとどうもしゃべりすぎてしまう。早く戻れ」


フイと猫のように三成様は顔を逸らした。


「やっぱりツンデレかなあ」


「何か言ったか?」


「いいえ、なんでも」


急いで笑顔でつくろい、退室する。


廊下に出ると、雨音や雷の轟音がいっそうひどくなった。
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