情炎の焔~危険な戦国軍師~
「は、はい」
慌てて返事をして起き上がり、障子を開ける。
すると左近様が何かをお盆に乗せて持って入ってきた。
「いやあ、友衣さん。今日はずいぶん頑張ってたでしょう?」
問わず語りに左近様が笑顔で話し出す。
「だからごほうびに買ってきたんですよ。城下で評判の茶屋、名月庵の団子を」
そこで急に言葉が止まった。
「友衣さん、どうしたんです?」
「何がですか?」
「またそんな珍妙な格好して」
「こっちの方が楽なので着替えました」
「そうですか」
なぜか眩しそうに私を見た後、左近様は座り、団子とお茶を渡してくれた。
「ありがとうございます。いただきます!」
名月庵の団子を串ごと取り、1つ口に入れる。
お米特有の香りと優しい甘みがいっぱいに広がった。
「おいしい!」
「それは良かった」
左近様は柔らかく笑う。
「左近様は食べないんですか?」
「あんたのためということで買ってきたんでね」
「あー、そんな固いこと言わないで一緒に食べましょうよ。1人より2人で食べた方がおいしいですって」
そう言って私は団子を1串、彼に渡した。
「では遠慮なく」
頷き、微笑みを浮かべながら食べる様子を見て自然と私の口もほころぶ。
「これ、縁側で食べた方が良かったかな」
ふとそんなことを考え、呟いた。
「なぜです?」
「月見団子って風情があるじゃないですか」
「なかなか風流なことを考えるんですね」
クスッと笑うその顔には嫌味がない。
しかし、次の瞬間には真面目な顔になっていた。
「でも残念ながら、雲行きが怪しかったんですよ」
「じゃあ、一雨来ますかね。昨日みたいに雷雨になったりして」
「そうなったらまた添い寝した方がいいですか?」
「い、いえ」
ぶんぶんと首を振る私を、左近様は面白そうに見ていた。
慌てて返事をして起き上がり、障子を開ける。
すると左近様が何かをお盆に乗せて持って入ってきた。
「いやあ、友衣さん。今日はずいぶん頑張ってたでしょう?」
問わず語りに左近様が笑顔で話し出す。
「だからごほうびに買ってきたんですよ。城下で評判の茶屋、名月庵の団子を」
そこで急に言葉が止まった。
「友衣さん、どうしたんです?」
「何がですか?」
「またそんな珍妙な格好して」
「こっちの方が楽なので着替えました」
「そうですか」
なぜか眩しそうに私を見た後、左近様は座り、団子とお茶を渡してくれた。
「ありがとうございます。いただきます!」
名月庵の団子を串ごと取り、1つ口に入れる。
お米特有の香りと優しい甘みがいっぱいに広がった。
「おいしい!」
「それは良かった」
左近様は柔らかく笑う。
「左近様は食べないんですか?」
「あんたのためということで買ってきたんでね」
「あー、そんな固いこと言わないで一緒に食べましょうよ。1人より2人で食べた方がおいしいですって」
そう言って私は団子を1串、彼に渡した。
「では遠慮なく」
頷き、微笑みを浮かべながら食べる様子を見て自然と私の口もほころぶ。
「これ、縁側で食べた方が良かったかな」
ふとそんなことを考え、呟いた。
「なぜです?」
「月見団子って風情があるじゃないですか」
「なかなか風流なことを考えるんですね」
クスッと笑うその顔には嫌味がない。
しかし、次の瞬間には真面目な顔になっていた。
「でも残念ながら、雲行きが怪しかったんですよ」
「じゃあ、一雨来ますかね。昨日みたいに雷雨になったりして」
「そうなったらまた添い寝した方がいいですか?」
「い、いえ」
ぶんぶんと首を振る私を、左近様は面白そうに見ていた。