情炎の焔~危険な戦国軍師~
しばらく雑談していると、本当に雨が降ってきたらしく、外が騒がしくなった。


「本当に降って来ちゃいましたね」


私は苦笑いした。


「ええ」


左近様も苦笑している。


こんなに都合よく(?)降る雨もあるのね。


「それにしても、今日も敵軍に動きはありませんでしたね」


なんとなく話題を変えてみる。


「そうですね」


「あ、そういえば三成様ったら朝っぱらから変なこと言ってたんですよ」


「変なこと?」


「邪魔だから左近様といちゃついてろって」


「殿が?」


意外だったらしく、左近様は目をぱちくりさせた。


「はい」


「そうですか。前々から思ってましたが、殿も変わりましたな」


「そうなんですかね?」


「友衣さんが来てからですよ。殿が冗談を言うなんて」


「あはは。私の変な性格がうつっちゃったんですかね」


私はおどけて笑うが、彼は真面目な顔をしていた。


「あんたは、殿さえも変えたのかもしれませんね」


そう目を細めて笑っている。


「あの、それってどういう…」


ことですか?と私が聞こうとした時。


ピシャーン!


空気を引き裂くような凄まじい雷鳴が轟くと同時に行灯の火がフッと消えた。


「きゃあ!」


突然の暗闇と轟音にびっくりして、私は思わず左近様にすがりついてしまった。
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