情炎の焔~危険な戦国軍師~
「…」


「…」


気まずい沈黙に包まれる。


私は左近様を残酷な運命から救いたい。


心の支えになりたい。


なのに、何も出来ない。


かえって助けられている。


好きな人ひとり笑顔に出来ないなんて。


つらい。


「友衣さん」


ふいに彼が話しかけてくる。


「はい」


「何、泣いてるんですか」


「泣いてなんかいないです」


「では訂正しましょう。何、泣きそうな顔してるんですか」


「そんな顔してましたか?」


しらばっくれてみせても左近様をだますことは出来ない。


「ええ。してましたよ」


その言葉と強い視線に体を貫かれる。


観念した私は本心を語った。


「左近様を笑顔に出来ない自分が嫌なんです」


「え?」


「逆に救われてばかりで。私は何のためにいるんだろうって」


するとスッと左近様の表情が変わり、口が開いた。
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