情炎の焔~危険な戦国軍師~
第30戦 想いが溶ける夜
「う…」
気付くと朝になっていた。
隣を見ると、あるはずの友衣さんの姿は消えていた。
そっと布団の、彼女がいた辺りに触れるとまだほんのり温かい。
去ったばかりらしい。
いつもなら俺が起きてからしばらく一緒にいてくれるのに、今日は目が覚めるなりさっさと帰ってしまったようだ。
やはり昨日、俺がしたことを怒っているのだろうか。
自分の行為がひどく悔やまれる。
最も近くにいる大切な人を、俺は一時的な気持ちに任せてこの手で傷付けてしまったのだ。
彼女の表情が走馬灯のように駆け巡る。
「あっはっは。嘘です」
花火のようにパッと咲く笑顔。
「もうっ、左近様ったら」
からかわれて怒った顔。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
子供のように泣いた顔。
「やっ、可愛いだなんてっ」
生娘のように恥じらう顔。
そうやってくるくると変わる表情。
離れたくない。
もっと色々な顔を見ていたい。
「友衣さん…」
行き場のない想いが胸を支配していった。
気付くと朝になっていた。
隣を見ると、あるはずの友衣さんの姿は消えていた。
そっと布団の、彼女がいた辺りに触れるとまだほんのり温かい。
去ったばかりらしい。
いつもなら俺が起きてからしばらく一緒にいてくれるのに、今日は目が覚めるなりさっさと帰ってしまったようだ。
やはり昨日、俺がしたことを怒っているのだろうか。
自分の行為がひどく悔やまれる。
最も近くにいる大切な人を、俺は一時的な気持ちに任せてこの手で傷付けてしまったのだ。
彼女の表情が走馬灯のように駆け巡る。
「あっはっは。嘘です」
花火のようにパッと咲く笑顔。
「もうっ、左近様ったら」
からかわれて怒った顔。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
子供のように泣いた顔。
「やっ、可愛いだなんてっ」
生娘のように恥じらう顔。
そうやってくるくると変わる表情。
離れたくない。
もっと色々な顔を見ていたい。
「友衣さん…」
行き場のない想いが胸を支配していった。