情炎の焔~危険な戦国軍師~
「えっ」


いきなり私の考えていたことと全然違うことを聞かれてびっくりした。


だけどなんとなく頷いてしまった。


本当は日本酒の匂いって苦手なんだけどね。


おまけに未成年だし。


でも私も不安な気持ちを少しでも和らげたくて、お酒を喉に流し込んだ。


「ほう。なかなかいい飲みっぷりだな」


三成様の表情がわずかに動く。


「はい。こんなのまだまだ序の口ですよ」


彼を元気付けたくて、私はなるべく明るく振る舞う。


「それは面白い」


そう言ってわずかに笑ってくれた。


「友衣、ところでどうなんだ?」


「何がですか?」


「左近との仲は」


「げほげほっ」


いきなりそんなことを聞かれたので盛大にむせてしまった。


「ど、どうって言われても困りますよ」


「普段はずいぶんと親密ではないか。意地なぞ張ってないで、早く仲直りすればいいものを」


普段から意地っ張りな人にそう言われてしまった。


っていうか意地を張っているんじゃなくて、気まずくて話せないだけなんだけど。


「あの、前から疑問だったんですけど、なんで私達がそんなに仲がいいだなんて思うんです?」


気を取り直してお猪口を傾けながら聞く。


ここまで言われるほど他人の前ではキャッキャしてないはずなのにな。


すると三成様は澄まし顔でさらっと答えた。


「夜、左近の部屋からたびたび聞こえてたぞ。お前の恥ずかしい声がな」


「ごほんごほんっ!」


またむせた。
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