情炎の焔~危険な戦国軍師~
そっと顔を覗くと、友衣の髪から漂う甘い花の香りが鼻をくすぐる。


以前、この香りについて本人に聞いたことがあったが、へあすぷれえとかいうものの匂いらしかった。


その甘い香りがまた煽情的で、心が海のように波立つ。


大人びた華とは違い、子供のような寝顔。


思わずじっと見てしまっていた時だった。


「左近様…」


友衣の呟きにはっと我にかえる。


「オレは何を考えている」


思わず呟いて目を逸らした時だった。


「殿」


「左近!」


部屋の入り口にはいつのまにか左近が立っていた。
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