情炎の焔~危険な戦国軍師~
第32戦 切なる望み
ーサイド友衣ー
翌日も何事もなく、敵軍は相変わらず停滞していた。
それでも訓練には余念がない。
侍女の仕事を放り出して一日中、竹刀を振り回した。
「はあー、疲れたあ」
夜、夕餉を終えた私はのびのびと檜の浴槽でお風呂につかっていた。
周りには誰もいない。
侍女の中でも、私だけはなぜか特別にお風呂を1人で入ってもいいと三成様に許されている。
佐和山城に来たばかりの時は特別扱いしたら皆が怪しむって言ってたのに。
きっと私だけ時代が違うから気を遣ってくれているのかもしれない。
「ふー」
手足を思いきり伸ばしてみる。
疲弊した体にお湯の温かさが染み渡る。
それに癒されながら、ぼんやりと佐和山城に来たばかりの頃の出来事を思い出していた。
葵さんに嫉妬して「左近様なんて大嫌い!」と言ってしまったこと。
そして訓練に力が入らなくて三成様に厳しくされたこと。
その後、疾風に乗って三成様と出会った場所に行ったことも。
あの時はケータイを探すつもりだった。
だけど、本当は現代に帰ろうとしていたのかもしれない。
三成様に叱られ、左近様に無視されたからつらい。
ただそれだけの理由で。
だけど、今は違う。
左近様達を助けるまでは帰らない。
そんな意志が心に宿っているのを感じる。
あの時よりずっと強い思い。
絶対に守り抜く。
しかし、そう思った時。
「え!?」
ふいに頭がぼんやりしてきた。
視界もぐらぐら揺れている。
嫌な予感に襲われた。
まさか、私このまま現代に…?!
翌日も何事もなく、敵軍は相変わらず停滞していた。
それでも訓練には余念がない。
侍女の仕事を放り出して一日中、竹刀を振り回した。
「はあー、疲れたあ」
夜、夕餉を終えた私はのびのびと檜の浴槽でお風呂につかっていた。
周りには誰もいない。
侍女の中でも、私だけはなぜか特別にお風呂を1人で入ってもいいと三成様に許されている。
佐和山城に来たばかりの時は特別扱いしたら皆が怪しむって言ってたのに。
きっと私だけ時代が違うから気を遣ってくれているのかもしれない。
「ふー」
手足を思いきり伸ばしてみる。
疲弊した体にお湯の温かさが染み渡る。
それに癒されながら、ぼんやりと佐和山城に来たばかりの頃の出来事を思い出していた。
葵さんに嫉妬して「左近様なんて大嫌い!」と言ってしまったこと。
そして訓練に力が入らなくて三成様に厳しくされたこと。
その後、疾風に乗って三成様と出会った場所に行ったことも。
あの時はケータイを探すつもりだった。
だけど、本当は現代に帰ろうとしていたのかもしれない。
三成様に叱られ、左近様に無視されたからつらい。
ただそれだけの理由で。
だけど、今は違う。
左近様達を助けるまでは帰らない。
そんな意志が心に宿っているのを感じる。
あの時よりずっと強い思い。
絶対に守り抜く。
しかし、そう思った時。
「え!?」
ふいに頭がぼんやりしてきた。
視界もぐらぐら揺れている。
嫌な予感に襲われた。
まさか、私このまま現代に…?!