情炎の焔~危険な戦国軍師~
第33戦 男の覚悟、猛将の意気
翌日。
「殿」
昼頃、左近様が三成様に話しかける。
「どうした、左近」
「今日こそ奇襲しましょう」
「またその話か」
「殿がそれほど渋るなら、俺の隊だけでも出陣しますから。そうすれば奇襲に肯定的な宇喜多殿も続いて来てくれるでしょう」
「お前…」
三成様はしばらく左近様の強気な態度に驚いているようであったが、やがてこう言った。
「わかった。では皆を集めて軍議を開き、具体的な手順を決めよう」
「よしっ」
傍らで聞いていた私は思わずガッツポーズした。
そしてしばらくして主な将が広間に集められた。
「では、これより…」
三成様がそう言った瞬間。
「申し上げます!」
いきなり伝令の者が血相を変えて駆け込んできた。
「軍議を始めるという時に何事だ。騒がしい」
三成様はそう怪訝そうに言い、一同もざわつく。
しかし、次の伝令の言葉はその騒ぎをぴたりと静めた。
「たった今、敵陣に内府(徳川家康)が到着した模様!」
「!!」
一瞬でその場の空気が凍りついた。
「そんな…」
最大にして最強の敵がとうとう、来てしまった。
慶長5年9月14日。
関ヶ原の戦いまであと1日。
「殿」
昼頃、左近様が三成様に話しかける。
「どうした、左近」
「今日こそ奇襲しましょう」
「またその話か」
「殿がそれほど渋るなら、俺の隊だけでも出陣しますから。そうすれば奇襲に肯定的な宇喜多殿も続いて来てくれるでしょう」
「お前…」
三成様はしばらく左近様の強気な態度に驚いているようであったが、やがてこう言った。
「わかった。では皆を集めて軍議を開き、具体的な手順を決めよう」
「よしっ」
傍らで聞いていた私は思わずガッツポーズした。
そしてしばらくして主な将が広間に集められた。
「では、これより…」
三成様がそう言った瞬間。
「申し上げます!」
いきなり伝令の者が血相を変えて駆け込んできた。
「軍議を始めるという時に何事だ。騒がしい」
三成様はそう怪訝そうに言い、一同もざわつく。
しかし、次の伝令の言葉はその騒ぎをぴたりと静めた。
「たった今、敵陣に内府(徳川家康)が到着した模様!」
「!!」
一瞬でその場の空気が凍りついた。
「そんな…」
最大にして最強の敵がとうとう、来てしまった。
慶長5年9月14日。
関ヶ原の戦いまであと1日。