情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド友衣-


「左近様」


三成様に報告を終えたのを見届けてから、私は左近様に駆け寄った。


「どうしたんです?友衣さん」


「皆が噂してるもんだから訓練を中断して櫓の上から見てましたが、すごいじゃないですか」


敵を巧みに引き付け、伏兵に奇襲させる。


あの島左近の本物の軍略を生で見た私は興奮していた。


「いえいえ」


謙虚な笑顔が眩しい。


その時、物見の者がやって来た。


「島様」


「ん?」


「実は…」


「!」


耳打ちされた左近様の顔がどんどん険しくなっていく。


「左近様?」


私が思わず話しかけると、左近様は難しい顔で口を開いた。
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