情炎の焔~危険な戦国軍師~
いや、これほどのことで立ち止まってはならない。


俺は、戦わなくては。


「…うっ!!」


再び左腕を撃たれた。


あまりの痛みにずるずると落馬する。


「島様!」


「左近様!」


たちまち何人かが駆け寄って来てくれる。


その中には彼女の姿もあった。


「俺のことはいいから、お前達は早く家康を…」


しかし、彼女達は首を横に振りながら俺を戸板に乗せ、後方へ運んでいく。


気絶しそうな痛みで頭がぼんやりする。


駆け足で去っていくかのように意識がどんどん遠くなっていく。


まだ、死ぬのは早い。


俺には変えたい世がある。


ついていきたい人がいる。


守り抜きたい人がいる。


まだ、何も出来ていない。


このまま死ぬなんてあんまりだ。


しかしその直後、そんな思いを断ち切るようにふっつりと意識を失った。


「左近様!」


俺を呼ぶ愛しい人の声が最後に聞こえた。


友衣、さん…。
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