情炎の焔~危険な戦国軍師~
「いいえ」
あまりにはっきり言うので、質問をした私の方がびっくりしてしまう。
「そうなんですか?」
「確かに愛し合った時間はあった。だけど、それは過去のこと。今のあの人にはあなたがいる。あの人の今が幸せなら、わたしはそれだけでいい」
その言葉は、どうしても綺麗事には聞こえなかった。
でも、疑問だ。
「どうしてそんな考え方が出来るんですか?私なんてあなたが左近様と昔、愛を語り合う仲と知っただけで動揺しているのに」
「わたしのような愛し方もあればあなたみたいな愛し方もあるってことね」
そう笑う眼前の睡蓮さんが、今までに会った誰よりも高尚な人に見えた。
「左近様…」
急にお寺に置いてきてしまったあの人が恋しくなる。
「あなた、本当に好きなのね。見せつけてくれるじゃない」
「あっ、すみません」
「いいのよ。出家したわたしの分まであの人の隣にいてあげて」
「睡蓮さん…」
「あなたのおかげできっとあの人は愛されるだけでなく、愛する喜びを知ったと思う」
それを聞いてふと思い出すのは、関ヶ原での左近様。
ー「愛してます」ー
そう美しく笑った顔。
会いたい気持ちが風船のように膨らんでいく。
だけど三成様も心配だ。
「あなた、もう暗いから今夜はここに泊まっていきなさい」
「ありがとうございます。すみません、突然押しかけたのに」
「いいのよ。わたし達は過去、そして現在、あの人を愛した。なにか縁のようなものを感じるわ」
私は睡蓮さんの好意に甘えさせてもらうことにした。
しかし、布団代わりの筵(むしろ)に寝転がっても三成様の顔と左近様の顔が浮かび、さらに法春さんも心配しているだろうと色々不安になり、なかなか寝付くことが出来なかった。
あまりにはっきり言うので、質問をした私の方がびっくりしてしまう。
「そうなんですか?」
「確かに愛し合った時間はあった。だけど、それは過去のこと。今のあの人にはあなたがいる。あの人の今が幸せなら、わたしはそれだけでいい」
その言葉は、どうしても綺麗事には聞こえなかった。
でも、疑問だ。
「どうしてそんな考え方が出来るんですか?私なんてあなたが左近様と昔、愛を語り合う仲と知っただけで動揺しているのに」
「わたしのような愛し方もあればあなたみたいな愛し方もあるってことね」
そう笑う眼前の睡蓮さんが、今までに会った誰よりも高尚な人に見えた。
「左近様…」
急にお寺に置いてきてしまったあの人が恋しくなる。
「あなた、本当に好きなのね。見せつけてくれるじゃない」
「あっ、すみません」
「いいのよ。出家したわたしの分まであの人の隣にいてあげて」
「睡蓮さん…」
「あなたのおかげできっとあの人は愛されるだけでなく、愛する喜びを知ったと思う」
それを聞いてふと思い出すのは、関ヶ原での左近様。
ー「愛してます」ー
そう美しく笑った顔。
会いたい気持ちが風船のように膨らんでいく。
だけど三成様も心配だ。
「あなた、もう暗いから今夜はここに泊まっていきなさい」
「ありがとうございます。すみません、突然押しかけたのに」
「いいのよ。わたし達は過去、そして現在、あの人を愛した。なにか縁のようなものを感じるわ」
私は睡蓮さんの好意に甘えさせてもらうことにした。
しかし、布団代わりの筵(むしろ)に寝転がっても三成様の顔と左近様の顔が浮かび、さらに法春さんも心配しているだろうと色々不安になり、なかなか寝付くことが出来なかった。