情炎の焔~危険な戦国軍師~
「あの方は、言葉は冷たいけど本当に私達のことを考えてくれていたわ」
遠くを見、懐かしそうな顔の女性に私はまた疑問を感じた。
「だったらなぜ東軍に?」
「秀吉殿が死んだ後は家康殿が事実上の権力者。だからより良い未来を作れる可能性が一番あると思ったの。でも」
「?」
「はたして本当にそうだったのか。そして、あの関ヶ原での戦いは正しかったのか。今はもうわからない…」
その顔はなんだか寂しげであったが、すぐに普通の表情に戻る。
「とにかく、ここにいると危ないわ。あなた、落ち延びている途中?」
「法春さんという方の元にいさせてもらっています」
「ああ、あの山奥のお寺ね。1度だけ立ち寄ったことがある。送っていくわ」
女性はそう言って法春さんに貸してもらった馬に、まるで我が物のようにまたがった。
半ば強引に私も後ろに乗せられる。
「さあ、行きましょう」
「は、はい」
その帰り道、ずっと周囲に目を光らせていたが、やはり三成様は見つからなかった。
お寺に着いたのは翌日の午後であった。
遠くを見、懐かしそうな顔の女性に私はまた疑問を感じた。
「だったらなぜ東軍に?」
「秀吉殿が死んだ後は家康殿が事実上の権力者。だからより良い未来を作れる可能性が一番あると思ったの。でも」
「?」
「はたして本当にそうだったのか。そして、あの関ヶ原での戦いは正しかったのか。今はもうわからない…」
その顔はなんだか寂しげであったが、すぐに普通の表情に戻る。
「とにかく、ここにいると危ないわ。あなた、落ち延びている途中?」
「法春さんという方の元にいさせてもらっています」
「ああ、あの山奥のお寺ね。1度だけ立ち寄ったことがある。送っていくわ」
女性はそう言って法春さんに貸してもらった馬に、まるで我が物のようにまたがった。
半ば強引に私も後ろに乗せられる。
「さあ、行きましょう」
「は、はい」
その帰り道、ずっと周囲に目を光らせていたが、やはり三成様は見つからなかった。
お寺に着いたのは翌日の午後であった。