情炎の焔~危険な戦国軍師~
「左近様」
私は彼の元に駆け寄る。
「友衣さん、どこ行ってたんですか!法春さんも小助も、俺だってどんなに心配したか…」
ぐいっと腕が引っ張られてそのまま抱き寄せられる。
「もうこれ以上俺に心配させないで下さい」
耳に流し込まれる真剣な声に、申し訳ない気持ちが込み上げる。
「ごめんなさい」
「まったく…」
呆れたような言葉とは裏腹に、さらにきつく抱きしめられた。
「俺はあまたの戦を経験してきた。その間、筒井家に仕え、そして去り、さらには殿さえ今は行方がつかめない」
左近様らしくない、不安げな声。
「怖くて仕方なかった。また、大切なものを失うのかって」
私を抱く腕が小刻みに震えている。
「左近様、本当にごめんなさい。そんな気持ちにさせてしまって。私、三成様を助けたくて」
「殿を?」
体には筋肉質の腕が絡みついたままだが、真横から視界の真ん中に移動した顔の中にある黒真珠のような目が瞬く。
「はい。でもいくら探しても見つかりませんでした。しかも佐和山城はもう…」
その先は言わなくてもわかったらしい。
「そうですか」
左近様は沈んだ表情でそう言った。
私は彼の元に駆け寄る。
「友衣さん、どこ行ってたんですか!法春さんも小助も、俺だってどんなに心配したか…」
ぐいっと腕が引っ張られてそのまま抱き寄せられる。
「もうこれ以上俺に心配させないで下さい」
耳に流し込まれる真剣な声に、申し訳ない気持ちが込み上げる。
「ごめんなさい」
「まったく…」
呆れたような言葉とは裏腹に、さらにきつく抱きしめられた。
「俺はあまたの戦を経験してきた。その間、筒井家に仕え、そして去り、さらには殿さえ今は行方がつかめない」
左近様らしくない、不安げな声。
「怖くて仕方なかった。また、大切なものを失うのかって」
私を抱く腕が小刻みに震えている。
「左近様、本当にごめんなさい。そんな気持ちにさせてしまって。私、三成様を助けたくて」
「殿を?」
体には筋肉質の腕が絡みついたままだが、真横から視界の真ん中に移動した顔の中にある黒真珠のような目が瞬く。
「はい。でもいくら探しても見つかりませんでした。しかも佐和山城はもう…」
その先は言わなくてもわかったらしい。
「そうですか」
左近様は沈んだ表情でそう言った。