情炎の焔~危険な戦国軍師~
「なのに、いつのまにかあんたしか見えなくなっていた」


ドキン、と胸が鳴る。


「そして、葵も睡蓮も俺が友衣さんを愛することを許してくれた。俺は実にいい女達に恵まれていたんだなってね」


「ならば、心の底まで愛して頂きましょうか。左近様は私のために少なくとも葵さんを始めとする、あなたに想いを寄せる侍女達を袖にしてるんですから」


「自分で言いますか」


左近様はおかしそうに吹き出した。


そしてその直後、それは色気のある笑みに変わる。


「そんなこと言ったら、朝まで離してあげませんよ?」


「でもまだ怪我、治ってないでしょう?」


「ええ。だが、抱きしめることくらい出来ますからね」


それでも怪しいので私は思わず身を固くする。


しかし、左近様はふんわりと優しい笑顔を浮かべ、手を差し延べてきた。


「おいで」


またドキン、と胸が鳴る。


ずるいなあ。


そんな顔されたら私…。


そしてその笑顔に吸い寄せられるように、左近様の腕の中へ自ら近寄った。
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