情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド友衣-


「うん…」


ふと、目を覚ますと視界に飛び込んできたのは左近様の顔。


「起きましたか」


「あ、すいません。わざわざこんな…」


寝ちゃったから布団まで用意してくれたんだ。


「気にしないで下さいよ」


その爽やかな微笑に胸が熱くなる。


「左近様」


「何です?」


「すいませんでした。大嫌いなんて言って。それなのに命まで助けて頂いて」


私は布団から出て正座し、深々と頭を下げた。


「もういいんです。頭を上げて下さい」


「でも」


「それよりも、あんたが無事で何よりです」


「左近様…」


優しさが嬉しいけどつらい。


もっと惹かれてしまいそうで。


「でもなんであんなに怒ってたんですか?」


「それは…」


正直に言ったら想いを打ち明けることになってしまう。


好きだから、愛してもいないのに甘い言葉を囁いてほしくなかった。


葵さんに嫉妬してた。


「友衣さん?」


顔を覗かれて私は慌てて逸らす。


「すみません。ちょっと個人的に嫌なことがあって変に神経質になってたみたいです」


今は想いを秘めておこう。


打ち明ける覚悟が出来るまでもう少し、もう少しだけ秘密にさせて。
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