情炎の焔~危険な戦国軍師~
「小助くんがどうしたんですか?」


ただならぬ様子に心がざわつく。


さらに、嫌な焦燥感が私を襲う。


「さきほど小助が町まで偵察に行って来たのですが」


「が?」


「実はとんでもないことを申しておりまして…」


まさか。


暑くもないのに私の背を汗がつたう。


「法春さん、今日って何月何日ですか?」


「10月1日ですが」


「!!」


雷に打たれた心地だった。


「馬、借ります!」


私は猛ダッシュで厩に行く。


「友衣さん?」


私の慌ただしい足音を聞き付けた左近様の怪訝そうな顔が入口からのぞく。


「すいません、左近様。説明は後でします」


呆然とする彼を置いて私は馬にまたがる。


「おれも行くッス」


いつのまにか小助くんが私の後ろにいた。


「小助くん」


「おれが案内します」


「ありがとう」


私達は急いで馬を走らせた。


京に向かって。
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