情炎の焔~危険な戦国軍師~
「え?私、何かしました?」


「俺は関ヶ原で死ぬはずだったんでしょう?だが、こうして生きている」


「あ…」


「それに、負けると知っていながらついて来てくれた。東軍に逃げることだって出来たろうし、俺達をだまして間者になることだって出来たはず。でもあんたはそうしなかった」


そういえばそうだ。


私は勝てるかわからない勝負はしない主義で、負けるとわかっている勝負などもってのほかだ。


加えて臆病な性格。


だけど今回だけは違った。


三成様を、左近様を助けたい。


その思いの下、この数ヶ月間、自ら兵士となって乱世を駆け抜けてきた。


「私、臆病なのに。人が人を思う気持ちは、時に臆病者を勇者に変えるってことでしょうか」


そんな柄にもない言葉が口をついて出てしまうほど、私はこの奇跡に驚いている。


「ええ」


左近様は大きく頷き、穏やかに笑っていた。


三成様。


あなたとの出会いで、私は現代では気付けなかった大切な気持ちに気付けた気がします。


ありがとう…。
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