情炎の焔~危険な戦国軍師~
この三成の訃報は、清正や正則の元にも届いた。


「…」


清正は悲痛な面持ちでうつむく。


「バカな奴。おとなしく徳川に屈すれば良かったものを」


正則はそう吐き捨てた。


2人の脳裏に秀吉の子飼い時代の思い出が蘇る。




「おい、三成に清正。2人で何話してんだよ」


「バカには関係ない話だ」


三成があざ笑うと正則がつかみかかる。


「何だと?偉そうに!」


「おい。2人ともケンカはやめろ」


清正が2人の間に割って入った。


それがいつもの光景だった。




「三成とお前、いつもケンカしてたよな」


懐かしむような表情の清正に正則は頷く。


「ああ。三成の奴、事あるごとにいちいち俺をバカにした」


「止めるの、大変だったんだぞ。だが、本当のバカは三成だ…」


「そうだよ。死んだらもうケンカ出来ねえじゃねぇか。バカ野郎…」


清正と正則の言葉は風に乗って遠くへ消えていった。
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