情炎の焔~危険な戦国軍師~
「秀吉様は派閥が出来ないように大名同士の私婚を禁じた。しかしあいつはそれを知っていながら平気でやっている。それだけではない」
皆、黙って聞くしかない。
「大坂城の西の丸に住み着き、豊臣の財産を勝手に使って諸侯達を詰めさせたり褒美を与えているというではないか」
三成様はなおも立て板に水の勢いで徳川家の悪事を披露する。
「挙げ句の果てには秀頼様や淀の方様に挨拶にも伺わないという。口では秀頼様のためなどと言っているが、あいつは狸だ。実際は豊臣のことなどこれっぽっちも思っちゃいない。これが目に余る振る舞い程度で済まされるはずがない。もはや盗賊ではないか」
口ぶりからして相当徳川家を恨んでいるようだ。
もはや嫌うという次元ではない。
「…」
さすがの清正様と正則様もこれには閉口したようだ。
同時に、今の三成様に何を言っても聞かないと判断したようで腰を上げた。
「残念だ。お前ならわかってくれると思っていたのだが」
「家康に、こてんぱんにやられても知らねえからな」
清正様は悲しそうに、正則様は悔しそうに言って部屋を辞した。
私はまた玄関まで彼らを案内する。
「なあ」
玄関でいきなり清正様が話しかけてきた。
「お前、見ない顔だが新人か?」
「はい」
「名は」
「友衣と申します」
「友衣だと?」
清正様と正則様は顔を見合わせた。
「あいつと同じ名だ」
皆、黙って聞くしかない。
「大坂城の西の丸に住み着き、豊臣の財産を勝手に使って諸侯達を詰めさせたり褒美を与えているというではないか」
三成様はなおも立て板に水の勢いで徳川家の悪事を披露する。
「挙げ句の果てには秀頼様や淀の方様に挨拶にも伺わないという。口では秀頼様のためなどと言っているが、あいつは狸だ。実際は豊臣のことなどこれっぽっちも思っちゃいない。これが目に余る振る舞い程度で済まされるはずがない。もはや盗賊ではないか」
口ぶりからして相当徳川家を恨んでいるようだ。
もはや嫌うという次元ではない。
「…」
さすがの清正様と正則様もこれには閉口したようだ。
同時に、今の三成様に何を言っても聞かないと判断したようで腰を上げた。
「残念だ。お前ならわかってくれると思っていたのだが」
「家康に、こてんぱんにやられても知らねえからな」
清正様は悲しそうに、正則様は悔しそうに言って部屋を辞した。
私はまた玄関まで彼らを案内する。
「なあ」
玄関でいきなり清正様が話しかけてきた。
「お前、見ない顔だが新人か?」
「はい」
「名は」
「友衣と申します」
「友衣だと?」
清正様と正則様は顔を見合わせた。
「あいつと同じ名だ」