情炎の焔~危険な戦国軍師~
ふと起き上がると、そこら中というよりは縦横無尽という表現の方が正しいくらいに私達が付けた足跡があった。


入り乱れてはいるけれどお寺の入口から今、私達がいる場所まで一応はちゃんと続いている。


「まるで自分の歴史みたいですね」


柄にもなくそんな言葉が口をついて出た。


「歴史?」


左近様は不思議そうに聞き返してくる。


「はい。振り向けば時には迷い、立ち止まりながら日々を刻み、付けた足跡がある。そして前を見ればほら」


目の前にはまだ足跡の付いていない平らで綺麗な白銀の世界。


「これから歩んでいくはずの真っさらな未来がある」


「なるほど。この足跡のようにこれからも共に生きていきたいですね」


深く頷いてくれた彼を見てなんだか嬉しくなった。


「はい」


「来年も再来年も友衣さんとこうしていたい」


「私もです」


左近様に愛される幸せを感じながら、私はにっこり笑って頷く。


ただただこんな毎日が続いていけばいいと思った。
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