情炎の焔~危険な戦国軍師~
「実は私、雪になりたいと思ったことがあったんです」
佐和山城にいた頃のことを思い出し、私は唐突にそう言った。
「雪に?なぜです?」
「左近様に愛されないのなら、雪になって溶けて消えてしまいたいと思ってたんです」
「いけませんよ。そんな悲しいことを考えては」
左近様は少し沈んだ表情でゆるゆると首を横に振る。
「左近様…」
「ほら、そんな顔をしないで下さい」
優しく包まれてしまうような穏やかな笑顔を見せてくれる。
「もしあんたが雪になってしまったら、その時はゆっくり温めて溶かしてあげます。その心さえも」
壊れ物を扱うようにそっと抱き寄せられる。
そして慈しむように口づけられた。
文字通り溶かされてしまうほどに甘いそれは、愛に溢れていると強く感じた。
「こんな風に、ね」
「もう…」
恥ずかしがると知って平気でするんだから。
嫌じゃないのについすねてみせてしまう。
するとふいにこつん、と額と額がぶつかる。
「悲しい顔されるより、怒った顔される方がよっぽどいいですよ…」
真剣で切なげな表情の彼に私は何も言えなかった。
佐和山城にいた頃のことを思い出し、私は唐突にそう言った。
「雪に?なぜです?」
「左近様に愛されないのなら、雪になって溶けて消えてしまいたいと思ってたんです」
「いけませんよ。そんな悲しいことを考えては」
左近様は少し沈んだ表情でゆるゆると首を横に振る。
「左近様…」
「ほら、そんな顔をしないで下さい」
優しく包まれてしまうような穏やかな笑顔を見せてくれる。
「もしあんたが雪になってしまったら、その時はゆっくり温めて溶かしてあげます。その心さえも」
壊れ物を扱うようにそっと抱き寄せられる。
そして慈しむように口づけられた。
文字通り溶かされてしまうほどに甘いそれは、愛に溢れていると強く感じた。
「こんな風に、ね」
「もう…」
恥ずかしがると知って平気でするんだから。
嫌じゃないのについすねてみせてしまう。
するとふいにこつん、と額と額がぶつかる。
「悲しい顔されるより、怒った顔される方がよっぽどいいですよ…」
真剣で切なげな表情の彼に私は何も言えなかった。