情炎の焔~危険な戦国軍師~
「左近様」


振り向くと、そこにはこの世界で一番大切な人がいた。


「友衣さん、どうしたんです?その体…」


「私、400年後の世界へ帰らなきゃいけないみたいです」


「!」


不安げな彼の顔が、一瞬にして驚きの色に変わる。


「どうして…」


いつもは勇ましい、芯の強さを感じさせる声も急に力がなくなった。


「わかりません」


ショックでそれしか言葉が出ない。


「ダメだ…」


急に彼がぽつりと言う。


「友衣さん、行っちゃダメだ…」


ガッと左手首を掴まれた。


私はそっとその手に自分の手を重ねる。


「左近様。私、あなたと離れたくないです」


「俺だって。この先も一緒に生きようって約束したじゃないですか」


「左近様…」


泣きたくなる。


「友衣さん、行くな。あんたがいなくなったら俺は一体どうしたら」


左近様も泣きそうな顔をしている。


だけど非情なことに、私の足首から下はすでに光に紛れて消えてきていた。
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