情炎の焔~危険な戦国軍師~
「友衣さん。俺はあんたのおかげでここまで来れたと思ってます。なのに、あんまりですよ。今になって帰るだなんて」


「ごめんなさい」


申し訳ない気持ちになってしまう。


そんな私を見て左近様はハッとした表情になった。


「すみません。友衣さんに言っても仕方ないことなのに」


「私だって本当はあなたをおいて行きたくないんですよ。このまま共に400年後に行けたらどんなにいいでしょう」


でも、体が消えていくのは私だけ。


「左近様。私、最後に島歌を歌ってもいいですか?」


「ああ、確か夏の歌でしたっけ」


佐和山城で過ごした冬の時の会話をまだ覚えてくれていたようだ。


「いいえ。今から歌うのは左近様の歌です」


私は気持ちをなるべく落ち着かせながら歌い始めた。
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