情炎の焔~危険な戦国軍師~
歌い終えると手首にある手が離れ、指が絡む。


「友衣さん、今の歌は本当ですか?」


「こんな時に嘘なんて言えませんよ」


「それなら絶対にまた逢いましょう」


「もちろんです。たとえ運命に引き裂かれても」


私は右手の小指を突き出す。


「何です、それは?」


左近様は不思議そうな顔をした。


「指切りの約束です」


「指切りは遊女のすることだと思ってましたよ」


「私の時代は違うんです」


すると彼はフッと笑ってもう一方の手の小指を絡ませてくれた。


「約束ですからね、友衣さん」


「はい。私達だけの約束です」


いつのまにか私の体は胸の辺りまで消えていた。
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