情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド左近-


「幸せでした」


彼女がそう柔らかく微笑んだ瞬間、辺り一面白い光に包まれた。


あまりの眩しさに思わず目をつむる。


その間にも、俺の手の中にある確かな温もりが失われていく。


離すまいと力を入れても、それは止められなかった。


しばらくして目を開くともう彼女の姿はなく、光の粒が宙に舞っているだけであった。


「友衣さん」


名前を呼んでも返事はない。


「友衣さあん!」


叫んでがっくりと膝をつく。


光の粒に触れようとしても、それは手をむなしくすり抜けていく。


「友衣さんが…離れていく…」


やがて、その光も消えてしまった。


「どうして…」


もはや力のない声しか出ない。


今になって思い出すのは彼女との美しい思い出。


まるで夢の中にいるような日々だった。


だが、明けない夜がないように、覚めない夢もない。


友衣さん。


人はこんなに心が震えるほどに誰かを愛せるんだということを、あんたは教えてくれた。


今はさよならだが、いつかまた逢いましょう。


俺はその時を…命が尽きるまで待ってます。
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