情炎の焔~危険な戦国軍師~
ーサイド友衣ー
「う…」
気付くと私は各務家の自室のベッドに転がっていた。
なぜかTシャツとショートパンツという格好に戻っていて、大垣城に置きっ放しだったはずのキャリーバッグも床に置いてある。
枕元のデジタル時計を見ると7月3日午前5時過ぎであった。
タイムスリップしたのが7月2日の夜だから数時間しか経っていない。
キャリーバッグを開けて文字の消えた歴史小説のページをパラパラとめくってみたが、文章が元に戻っていた。
三成様についての最期は
「こうして三成は慶長5年10月1日、六条河原にて悲しき最期を遂げた。しかしその義に満ちた遺志は後にあの真田幸村にひっそりと受け継がれていたのであった」
そして左近様の最期は
「そして左近は関ヶ原の地に消えた。その勇猛ぶりは敵である黒田長政達が何年もうなされるほどだったという。そのせいか、京の町で彼を目撃したという噂が立ったのであった」
と書かれていた。
タイムスリップする前と全然変わっていない。
結局、私は歴史を変えられなかった。
それともあれは全部夢だったのだろうか。
しかし、左手首を見ると切り傷の跡がある。
関ヶ原で後追い心中しようとした時のものだ。
キャリーバッグの中をさらにあさると、何か固い物に触れた。
取り出してみると、それは留める部分がだいぶ古くなって錆びているが、佐和山城下で左近様にもらった八重桜の髪飾りであった。
夢じゃない。
あの波乱の日々は夢なんかじゃなかった。
私が時を超えて三成様や左近様に出会ったことは事実なんだ。
キャンパスライフをのんびり過ごしていた私にとって、あの時間はなんとも慌ただしい時間だった。
だけど…。
私は乱世で生きた時を思い出してフッと微笑んだ。
「う…」
気付くと私は各務家の自室のベッドに転がっていた。
なぜかTシャツとショートパンツという格好に戻っていて、大垣城に置きっ放しだったはずのキャリーバッグも床に置いてある。
枕元のデジタル時計を見ると7月3日午前5時過ぎであった。
タイムスリップしたのが7月2日の夜だから数時間しか経っていない。
キャリーバッグを開けて文字の消えた歴史小説のページをパラパラとめくってみたが、文章が元に戻っていた。
三成様についての最期は
「こうして三成は慶長5年10月1日、六条河原にて悲しき最期を遂げた。しかしその義に満ちた遺志は後にあの真田幸村にひっそりと受け継がれていたのであった」
そして左近様の最期は
「そして左近は関ヶ原の地に消えた。その勇猛ぶりは敵である黒田長政達が何年もうなされるほどだったという。そのせいか、京の町で彼を目撃したという噂が立ったのであった」
と書かれていた。
タイムスリップする前と全然変わっていない。
結局、私は歴史を変えられなかった。
それともあれは全部夢だったのだろうか。
しかし、左手首を見ると切り傷の跡がある。
関ヶ原で後追い心中しようとした時のものだ。
キャリーバッグの中をさらにあさると、何か固い物に触れた。
取り出してみると、それは留める部分がだいぶ古くなって錆びているが、佐和山城下で左近様にもらった八重桜の髪飾りであった。
夢じゃない。
あの波乱の日々は夢なんかじゃなかった。
私が時を超えて三成様や左近様に出会ったことは事実なんだ。
キャンパスライフをのんびり過ごしていた私にとって、あの時間はなんとも慌ただしい時間だった。
だけど…。
私は乱世で生きた時を思い出してフッと微笑んだ。