情炎の焔~危険な戦国軍師~
私は「学寮研修のしおり~第1学寮での注意」と書かれた栞をキャリーバッグから取り出した。


タイムスリップする前に憎々しげに見つめたあれだ。


確かに友達はみんな違う行き先だから不安だけれども。


でも遥かに厳しい時代を過ごした今の私なら乗り越えられる気がする。


遠い時代の人々がくれた生きる力は何よりも尊いものだから。


「さて、今日から研修だ」


昇りゆく朝日を見ながら私は呟く。


私にはあの時代で得たものがある。


どんなことがあっても頑張るんだから。


「行こう」


誰にともなく呟いた言葉は、朝のすっきりとした空へ吸い込まれていった。



前編 関ヶ原編 完


後編 大坂編(332ページ~)へ続く
< 330 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop