情炎の焔~危険な戦国軍師~
「友衣さん…?」


左近様の顔に驚きの色がありありと浮かぶ。


ずっと想っていた人の姿を目の当たりにし、たまらず私は彼に駆け寄り、抱きついた。


「左近様!」


「来てくれたんですね」


感極まったような声で左近様は抱きしめ返してくれる。


「ずっと会いたかったんですよ」


「私だって」


「寝ても覚めてもあんたのことばかり考えていた。忘れようとしても忘れられなかった」


聞きながら私は何度も頷く。


「左近殿、友衣殿」


法春さんが苦笑しながら咳ばらいをする。


「あっ」


私が玄関に立ってるから邪魔で入れないんだ。


「すいません」


ぺこぺこと頭を下げながら私は場所を空ける。


「友衣殿」


「はい」


「もし帰る場所がないなら、またしばらくここで暮らすがいいでしょう」


「いいんですか?」


「もちろんです」


「ありがとうございます。またお世話になります」


私は左近様と手を取り合って喜んだ。


これから再び波乱の戦いが始まるとも知らずに。


そう。


私達はまた壮大な戦禍に巻き込まれていくのである。


新たな人物と、前よりも遥かに複雑な愛憎と、絆を伴って…。
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