情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド左近-


友衣さんが未来へ帰り、俺は急速に元気を失っていった。


愛を誓った相手が隣にいないのはこんなにもつらいことなのか。


柄にもなく思いつめ、食事が喉を通らない日もあった。


「左近様!」


目を閉じれば蘇る。


彼女の笑顔。


俺を呼ぶ声。


恋を失うのがこんなにも悲しいなんて。


「左近殿。食べないとお体に障ります」


法春さんの心配してくれる声さえも苦しかった。


もしかしたらまた会えるかもしれない。


そう思って俺は時々、殿が友衣さんと出会ったという場所に行ってみた。


だが、いつ行っても愛しい彼女の姿はない。


「左近様」


失望感と共に再び蘇る友衣さんの姿。


思い出に恋するなんて、俺らしくないな。


「友衣さん…」


気付けば俺はいつも虚ろな世界に彼女の、桜のように淡く儚い姿を探していた。
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