情炎の焔~危険な戦国軍師~
第46戦 束の間の甘い恋
*****
一方その頃、江戸城では不穏な動きがあった。
7月。
1人の僧が徳川家康に謁見していた。
「家康様。豊臣が建てた寺のことですが」
「ああ、広寺のことであろう?亡き太閤殿下(豊臣秀吉)が建立なさったとか」
「そのことでございます。その寺の鐘にとんでもないことが刻まれているのです」
「と、言うと?」
すると僧は声を一段と低くして言う。
「国家安康。これは家康様のお名前を裂く、徳川家への呪詛にございます」
すると家康の顔色がサッと変わった。
「何と。羅山よ、それは真か?」
「はっ」
「なるほど。それはわしに対する冒涜に他ならぬ。大仏開眼供養を中止するよう豊臣に言い渡せ」
しかし、豊臣にそのような意図などまったくない。
「ふん」
徳川からの使者の話を聞いた豊臣秀頼の母、淀君は鼻で笑う。
「呆れたものじゃ。勘違いも甚だしい。そんなことで徳川に頭を下げろと?バカバカしい」
「しかし、淀の方様」
「お黙り!私は絶対にあの狸に謝りなどせぬ。何があってもな」
こうして、豊臣と徳川の溝は深くなっていくのであった。
一方その頃、江戸城では不穏な動きがあった。
7月。
1人の僧が徳川家康に謁見していた。
「家康様。豊臣が建てた寺のことですが」
「ああ、広寺のことであろう?亡き太閤殿下(豊臣秀吉)が建立なさったとか」
「そのことでございます。その寺の鐘にとんでもないことが刻まれているのです」
「と、言うと?」
すると僧は声を一段と低くして言う。
「国家安康。これは家康様のお名前を裂く、徳川家への呪詛にございます」
すると家康の顔色がサッと変わった。
「何と。羅山よ、それは真か?」
「はっ」
「なるほど。それはわしに対する冒涜に他ならぬ。大仏開眼供養を中止するよう豊臣に言い渡せ」
しかし、豊臣にそのような意図などまったくない。
「ふん」
徳川からの使者の話を聞いた豊臣秀頼の母、淀君は鼻で笑う。
「呆れたものじゃ。勘違いも甚だしい。そんなことで徳川に頭を下げろと?バカバカしい」
「しかし、淀の方様」
「お黙り!私は絶対にあの狸に謝りなどせぬ。何があってもな」
こうして、豊臣と徳川の溝は深くなっていくのであった。