情炎の焔~危険な戦国軍師~
一方、大坂城西の丸では…。


「お前がやられて帰ってくるとは珍しいな」


家康は侍女に、左近に付けられた傷の手当てをしてもらっている半蔵を見てニヤリと笑った。


「しかも例の奇妙な小箱、取り返されてしまったのであろう?」


「申し訳ありません。家康様」


半蔵はうなだれる。


「まあ、良い。その謎の女子が徳川の家紋のついた持ち物を持っていながら、三成のところにいるということはわかった」


「ですが、徳川にあのような女はいなかったはずです」


「例の女子は果たして敵か味方か…」


家康は恰幅の良い体を揺らして笑う。


「見ものだな」


「もし敵ならばどうするのです」


「徳川の家紋の品を持っていながら、三成の味方だった場合か」


「はい」


半蔵の言葉に家康の丸い目がギラリと光った。


「その時は…捕縛するのみだ」
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