情炎の焔~危険な戦国軍師~
「わ」
ある朝、お寺の外に出た私は思わず声を上げた。
一面に銀世界が広がっている。
空と木々の幹以外のすべてが白い。
私が再びタイムスリップしてきて5ヶ月。
現代に帰る日もこんな感じだった。
いやいや、何考えているの。
縁起でもない。
「どうしたんです?」
背後から声をかけられて振り向く。
「左近様」
「雪、ですか」
彼は目を細めて呟いた。
「あんた、もう雪になりたいだなんて思っちゃいないでしょうね?」
私はこくりと頷く。
「雪になってしまったら左近様とずっと一緒にはいられなくなりますからね」
すると目の前にふんわり溶けてしまいそうな微笑みが広がる。
「わかっているならいいです」
「でも雪になったら左近様が溶かしてくれるんですよね?」
「忘れて下さい。あんな恥ずかしい発言」
左近様は手の甲を口に当てて、ふいと横を向いてしまう。
「いいじゃないですか」
「良くないです。俺はそんな気障な真似が出来るほどもう若くない」
「若かろうと若くなかろうと左近様は左近様ですよ。カッコよさで言えばまだまだ現役ですしね」
「そんなこと言ってまた俺の余裕を奪うんですね」
その顔は切なげに歪んでいた。
ある朝、お寺の外に出た私は思わず声を上げた。
一面に銀世界が広がっている。
空と木々の幹以外のすべてが白い。
私が再びタイムスリップしてきて5ヶ月。
現代に帰る日もこんな感じだった。
いやいや、何考えているの。
縁起でもない。
「どうしたんです?」
背後から声をかけられて振り向く。
「左近様」
「雪、ですか」
彼は目を細めて呟いた。
「あんた、もう雪になりたいだなんて思っちゃいないでしょうね?」
私はこくりと頷く。
「雪になってしまったら左近様とずっと一緒にはいられなくなりますからね」
すると目の前にふんわり溶けてしまいそうな微笑みが広がる。
「わかっているならいいです」
「でも雪になったら左近様が溶かしてくれるんですよね?」
「忘れて下さい。あんな恥ずかしい発言」
左近様は手の甲を口に当てて、ふいと横を向いてしまう。
「いいじゃないですか」
「良くないです。俺はそんな気障な真似が出来るほどもう若くない」
「若かろうと若くなかろうと左近様は左近様ですよ。カッコよさで言えばまだまだ現役ですしね」
「そんなこと言ってまた俺の余裕を奪うんですね」
その顔は切なげに歪んでいた。