情炎の焔~危険な戦国軍師~
「う…」


それからどれくらい気絶していたかわからない。


ぼんやり目を開けると、木の天井があった。


その後、私は知らない部屋で布団に寝かされていたことに気付く。


「どこ、ここ」


ゆっくりと体を起こす。


どうやら城内の一室のようだが、まわりには誰もいない。


人の気配すらしない。


あの颯と名乗る忍にここに連れてこられたのだろうか。


そういえば左近様は?


「左近様…?」


のろのろと立ち上がり、呟きながらとりあえず障子戸を開けた時。


「っ!」


私は思わず息を飲んだ。


あの忍が、苦無(くない)を手に音もなく廊下に立っていた。
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