情炎の焔~危険な戦国軍師~
~Side友衣~


こうして私は侍女兼兵士という形で真田家に仕えることになった。


「友衣」


中でも桔梗さんという同じくらいの年齢の侍女が、特に私を気にかけてくれる。


「あ、桔梗さん」


「何ぼんやりしてるの?悩み事?」


「いえ、違うんです」


私は同じく侍女である桜さんに視線を向けた。


幸村様と何やら会話している。


「では、頼んだぞ。桜」


「は、はいっ」


桜さんは現代風に言えば、ぶりっ子でもないのにアニメ声で、常にもじもじしているからめちゃくちゃ隙がある感じで、童顔で、いかにも妹キャラって感じの人だ。


「男性はああいう人が好みなのですね…」


幸村様は真面目みたいだからそんな目では見ていなさそうだけど、兵士達からはかなりモテるみたい。


異性として桜さんを好評する兵士達の声を訓練中に、笑ってしまうほど聞いてきた。


侍女の総選挙を開催したら桜さんは間違いなく1位だろう。


私の言葉を聞いて桔梗さんは苦笑する。


「いやあ、でも一概には言えないわよ」


「そうですかねえ」


「それにあなたにはいるんでしょう?お付き合いしている人が」


「左近様もああいう人が好みだったらどうしましょう」


「大丈夫よ。14年も離れていたのにずっと想われてたんでしょ?それなら心配ないって」


「そうか。そうですよね」


私はうんうんと頷いてみせた。


「あ、でもりつには気をつけて」


「りつ、さん?」


「あの人は自分が1番綺麗だと思ってるから。しかも島様と昔、褥を共にするような仲だったって…」


「ええ!?」


そんな話、初耳だ。


「ごめん。でも本当に気をつけてほしくて」


「わかりました。ありがとうございます」


桔梗さんにそう言ってみても、心のどこかで一抹の不安が残っていた。


左近様。


私達、大丈夫ですよね…?
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