情炎の焔~危険な戦国軍師~
その後、私は左近様と共に幸村様に連れられて大坂城の本丸へ来て深々と頭を下げていた。
「その者達、苦しゅうない。面(おもて)を上げよ」
そのクールな男の人の声につられて顔を上げると、上座に私と同い年くらいの凛々しく高貴な男性が、その傍らには40代くらいのこれまた気高い雰囲気の女性がいた。
「お久しゅうございます。秀頼様、淀の方様」
左近様は恭(うやうや)しく言う。
そう、城主に謁見というかご挨拶に来たのだ。
確か秀頼様は豊臣秀吉様のご子息。
淀の方様は秀頼様のお母様だったはず。
幼名は茶々。
そしてあの織田信長殿の妹君のお市殿のご息女でもある。
ちなみにこの淀の方様と、京極家に嫁いだお初様、徳川秀忠殿に嫁いだお江様の「浅井三姉妹」は、現代では有名だ。
「左近、久しいな。先の関ヶ原では三成殿について討ち死にしたと聞いたが」
淀の方様が話を振っている。
「はっ。ですがこの左近、奇跡的にこうして命拾い致しました。かくなる上は亡き石田三成殿のご遺志を継ぎ、幸村殿と共に豊臣のために戦う所存にございます」
左近様の言葉を聞いて、淀の方様は少し嬉しそうにそっと微笑んだ。
「して、そなたは」
視線が私に向けられ、私は緊張を悟られないように冷静を装って答える。
「はい。各務友衣と申します。私も石田三成様にお仕え申し、一兵として参戦致しておりました。あの方が果たせなかった大義を、あの方に代わって為し遂げたく参りました。何卒よろしくお願い致します」
「そうか、そなたが友衣か。存じておる」
初対面であるはずの淀の方様の言葉に、耳を疑った。
「その者達、苦しゅうない。面(おもて)を上げよ」
そのクールな男の人の声につられて顔を上げると、上座に私と同い年くらいの凛々しく高貴な男性が、その傍らには40代くらいのこれまた気高い雰囲気の女性がいた。
「お久しゅうございます。秀頼様、淀の方様」
左近様は恭(うやうや)しく言う。
そう、城主に謁見というかご挨拶に来たのだ。
確か秀頼様は豊臣秀吉様のご子息。
淀の方様は秀頼様のお母様だったはず。
幼名は茶々。
そしてあの織田信長殿の妹君のお市殿のご息女でもある。
ちなみにこの淀の方様と、京極家に嫁いだお初様、徳川秀忠殿に嫁いだお江様の「浅井三姉妹」は、現代では有名だ。
「左近、久しいな。先の関ヶ原では三成殿について討ち死にしたと聞いたが」
淀の方様が話を振っている。
「はっ。ですがこの左近、奇跡的にこうして命拾い致しました。かくなる上は亡き石田三成殿のご遺志を継ぎ、幸村殿と共に豊臣のために戦う所存にございます」
左近様の言葉を聞いて、淀の方様は少し嬉しそうにそっと微笑んだ。
「して、そなたは」
視線が私に向けられ、私は緊張を悟られないように冷静を装って答える。
「はい。各務友衣と申します。私も石田三成様にお仕え申し、一兵として参戦致しておりました。あの方が果たせなかった大義を、あの方に代わって為し遂げたく参りました。何卒よろしくお願い致します」
「そうか、そなたが友衣か。存じておる」
初対面であるはずの淀の方様の言葉に、耳を疑った。