情炎の焔~危険な戦国軍師~
「私をご存知でいらっしゃるのですか?」


「1度、関ヶ原の戦の半年ほど前だったか三成から文が来てな」


ということは初めてのタイムスリップから2ヶ月くらい経った頃か。


「佐和山城での暮らしぶりや情勢の他に、友衣という名の珍妙な娘の話が書かれていた」


「珍妙にございますか…」


三成様、なんてことを教えてくれているのですか…。


「言うことやること珍妙だが、心優しく芯の強い女子と書かれていてな。会ってみたいと思っていたのじゃ」


淀の方様はそう言って嫣然(えんぜん)と微笑んだ。


「もったいなきお言葉にございます」


恐縮した私は畳にぶつかるくらい深く頭を下げる。


「今は1人でも多くの味方が必要だ。左近、友衣。豊臣のために、頼むぞ」


「「はっ」」


秀頼様の言葉に私達は強く答えた。


退出際、幸村様が来て私を部屋に案内し、2人の幸村様お付きの忍を紹介してくれた。


颯と名乗って私達を襲った忍は、本当は影月という名前。


その風のような身のこなしから、「颯の忍」の異名をとっているのだとか。


そしてもう1人の、紺色の忍者装束に身を包んだ人が藤吾という名前の忍らしい。


影月さんに劣らず背が高く(この時代なのに170センチくらいありそう)、切れ長の目がクールで印象的な青年だ。


それが終わると今度は小助くんくらいの年齢の小姓らしき少年に、左近様のいる部屋に案内してもらうのであった。
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