情炎の焔~危険な戦国軍師~
「仕事をほったらかして2人でいちゃつくな」


声の主は三成様だ。


「え、いちゃついてなんかいませんよ。ねえ?」


左近様に助けを求めて話を振るが、彼はニヤッと笑った。


「俺はいちゃついてたってことにしてもいいですがね」


「ちょっと左近様!」


そこは「うん」って言ってくれなきゃ。


「ほう、ずいぶんと仲良しだな」


三成様は呆れているらしい。


「そりゃ俺達の仲ですから」


悪びれる様子なんてなく、むしろニヤける左近様にいきなり抱き寄せられた。


「違います。そんなんじゃ…」


ない、と続けようとしたけど彼の胸が温かくて、着物越しに伝わる腕の体温にドキドキしてしまう。


「私、嫁入り前なんですけど」


かろうじてそれだけ言っても、左近様にはかなわない。


「だったら嫁に来たらどうです」


「誰のところに?」


「俺のところに」


私をもらう気なんてないくせに。


心の中でそうすねるのがやっとで、私を抱く広い胸を押し返す気にはなれなかった。
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