情炎の焔~危険な戦国軍師~
「何ですかその変な体勢は」


「うーん、何でしょう。自分でもわかりませんねえ」


へらへら笑うしか出来ない。


「襲いやすい体勢だ。抱きますよ」


「えっ」


慌ててバッと体を起こすと、彼はおどけた調子で肩をすくめる。


「おや、残念」


「すこぶるわざとらしい言い方ですね」


すると今度はいつもよりもっと低く、抑えた声が耳元で聞こえた。


「抱いてやるよ」


「ぐわあああー」


流行り(ではないかな?)の俺様系攻撃か!


っていうか声に含まれている男の色気が凄まじいんですけど。


左近様ってもうそれなりの歳いってると思うんだけど、恐ろしい人だ…!


もし生まれる時代が違っていたら、声優として成功出来たんじゃないかな。


いや、見た目が若くてワイルドでビジュアルも完璧だから俳優とか歌手もいいかも!


まあ、左近様の演技力とか歌唱力がいかほどのものかは分からないけど。


そんな関係ないことを考えつつ、さっきよりも色気という名のダメージを食らった私は、畳の上に横になるように倒れ込んだ。


「おや、さっきよりも襲いやすい体勢になってどうするんです?」


「いや、あの。っていうか左近様、変ですよ。襲うとか言って」


「だって再会してからまだ全然ですし、ねぇ?」


「いやいやいや」


ねぇ?って言われても!


「ふー、相変わらずあんたをからかうと面白いですね」


「やだ、もう」


「相変わらずの恥ずかしがりですね。そんなに頬を赤らめて。俺以外の男にそんな可愛い顔、見せたらどうなるか分かってます?」


「分かってます」


さらりと言ってみた。
< 389 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop