情炎の焔~危険な戦国軍師~
その日は何をしていても左近様の温かさが体から離れなかった。


以前、嫌なことを忘れるために竹刀を振るったけど、今回はそうしていても忘れられない。


視線を、言葉を交わすたび雪みたいに積もっていく想い。


誑し込まれているだけ。


甘い言葉は私を愛しているがゆえにかけてくれるものじゃない。


そう思っても心はどんどん彼に惹かれていく。


私に向けられる笑み。


いつも見せてくれる大人の余裕。


男らしさを感じる、精悍でワイルドな風貌と逞しい体。


遊び人みたいなのに、半蔵さんの一件で見せた真面目さと優しさ。


そして強さ。


全部好き。


もっと彼を知りたい。


「友衣。あなた左近様とどこまで行ってるの?」


寝ようとすると、隣の布団に潜り込んだひなたさんが話しかけてきた。


「え、どこまでも何も別に変わらないよ?」


「嘘だあ。見たよ。昼間、2人が抱き合ってるところ」


「あれはただ寒かったから」


「寒いからって抱きつく人なんかいないでしょ」


「いたんですよ」


一応正直に答えているのに信じてもらえない。


「怪しいなあ」


その後、空が白むまで尋問されたが、私は結局左近様との仲を認めなかった。
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