情炎の焔~危険な戦国軍師~
第52戦 忍達の事情
「幸村様。秀頼様がお呼びでございます」
ある日、幸村様と部屋で話をしていると影月さんが音もなく現れた。
「分かった。今行く」
幸村様は短く答えて腰を上げ、去っていった。
「何の用だろうなあ、幸村様」
ひとりになった所で呟く。
「そりゃこれからの話でしょ。徳川との戦のさ」
「え?!」
慌てて周囲を見回す。
しかし、誰もいない。
虫一匹見当たらないのだ。
「ここ、ここ」
バッと掛け軸が捲(めく)れたと思うと、藤吾さんが出てきた。
「うわっ、びっくりした」
思わず仰(の)け反る。
「あっはは、すごい反応」
藤吾さんは私のリアクションに対してからからと笑っている。
「友衣、隙が多いね。そんなんじゃ、刺客に命を狙われたらあっさり後ろからやられちゃうよ?」
「うう」
反論出来ない。
「そういえば藤吾さんも影月さんも幸村様の忍なんですよね」
影月さんは物静かでやたら丁寧に話す人だ。
もしさっきの藤吾さんのセリフを影月さんが言ったら
「友衣さんは隙が多いですね。その様では、刺客に命を狙われたらいとも簡単に後ろからやられてしまいますよ?」
という感じになるだろう。
私が話をすり替えたことを気にする様子もなく藤吾さんは頷き、静かに言った。
「うん。でも実はあともうひとりいるんだ」
ある日、幸村様と部屋で話をしていると影月さんが音もなく現れた。
「分かった。今行く」
幸村様は短く答えて腰を上げ、去っていった。
「何の用だろうなあ、幸村様」
ひとりになった所で呟く。
「そりゃこれからの話でしょ。徳川との戦のさ」
「え?!」
慌てて周囲を見回す。
しかし、誰もいない。
虫一匹見当たらないのだ。
「ここ、ここ」
バッと掛け軸が捲(めく)れたと思うと、藤吾さんが出てきた。
「うわっ、びっくりした」
思わず仰(の)け反る。
「あっはは、すごい反応」
藤吾さんは私のリアクションに対してからからと笑っている。
「友衣、隙が多いね。そんなんじゃ、刺客に命を狙われたらあっさり後ろからやられちゃうよ?」
「うう」
反論出来ない。
「そういえば藤吾さんも影月さんも幸村様の忍なんですよね」
影月さんは物静かでやたら丁寧に話す人だ。
もしさっきの藤吾さんのセリフを影月さんが言ったら
「友衣さんは隙が多いですね。その様では、刺客に命を狙われたらいとも簡単に後ろからやられてしまいますよ?」
という感じになるだろう。
私が話をすり替えたことを気にする様子もなく藤吾さんは頷き、静かに言った。
「うん。でも実はあともうひとりいるんだ」