情炎の焔~危険な戦国軍師~
「これも、報いなんですかね」


その後、左近様の部屋で語らっていると彼はぽつりと呟いた。


「?」


「誑しの左近だった報いです」


どうやらりつさんのことを気にしているらしい。


「俺がもっと女にだらしなくなければ、彼女は苦しむことはなかった」


悲しそうに遠くを見るような目をしている。


「左近様…」


「睡蓮や葵も、振り回すことなどなかった」


「でも、傷付けたくてそうしたわけじゃないんでしょう?」


「もちろんです。ま、要は若気の至りってやつですがね。こんなに苦いものなんですね」


私はどうすることも出来ず、無言で一回り以上大きな体を抱きしめた。


「友衣さん」


驚いたような声が顔のすぐ上から聞こえる。


「俺を慰めてくれるんですか?」


「自分を責めないで下さい。左近様は後悔しているんでしょう?その気持ちがあればきっと…ああ、良い言葉が見つからない」


「ありがとう」


背中が優しい温かさに包まれる。


「あんたに出逢えたからたった1人を愛する喜びを思い出せた。あんたが俺の目を覚まさせてくれた」


え?


思い出せたってどういうこと?


もしや以前の左近様は一途だったとか。


そして、何かのきっかけで女遊びをするようになったというの?


「左近様、思い出せたって?目を覚まさせたってどういう意味ですか?」


すると彼は数秒間、戸惑うような顔をした後、ためらいがちに口を開いた。


「それは…」
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