情炎の焔~危険な戦国軍師~
「それは、俺の」


その時。


「…」


左近様は急に黙ってしまった。


「左…」


わけも分からず名前を呼ぼうとすると、手で遮られる。


そしてザッと立ち上がって、険しい表情で天井を見上げた。


「見つかったか」


パカッと天井が開いて、1人の忍者の格好をした若い男の人が音もなく降り立つ。


「お前は幸村の忍の青霧…か?幸村から話は聞いている」


この人が藤吾さんが言っていた忍か。


そしてどうやら左近様も、青霧さんのことを聞き知っているようだ。


「ええ」


「偵察から帰って早々に盗み聞きとは結構な趣味だな」


「フッ、お口の悪いお方だ」


2人の会話を聞きながら、私は心の中で問う。


左近様。


さっき、何て言おうとしたの…?
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